MB-5を源流とする新たなる伝説
次世代ブランドであるヴァリエスの誕生と同時に、ヴァリエスブランド初のホイールとして鳴り物入りのデビューを果たしたMB-5。印象の異なる3つのフェイスを用意し、あらゆる車種に対応することでユーザーの意識さえも変えてしまった希代のマスターピースは、その後3ピースのTR-5という派生モデルを生み出し、すべてのホイールの系譜となりつつある。その流れにさらに拍車をかけるのが、MB-6の登場である。
骨格となる意匠はMB-5を踏襲しているが、スポークの数が6本になるだけでこれほどまで印象が変わるのかと、多くの人が思うに違いない。MB-5を“躍動"、“気鋭"とするなら、MB-6は“均衡"、“洗練"と表現してもいいだろう。さらに一歩踏み込むと、5本スポークという伝統に対する革新という見方もできる。6本のスポークがシンメトリーを織りなすその様は、これまでのホイールでは見られなかった全くのブランニューな意匠とも受け取れる。
当然のことながら、機能性についてもMB-5の神髄を受け継いでいる。ハブの裏側など、見えない部分での肉抜きといった地道な作業を一つ一つ積み重ね、コンピュータ解析を繰り返し、高度な次元での強度と軽さ、そして洗練されたスタイル性を追求。これも度重なるレース活動で培われたノウハウや蓄積されたデータが活用された結果であり、ファブレスだからこそ実現できた偉業と言えるかも知れない。耐久性、軽量化、意匠、どれ一つをとっても妥協は決して許されないのである。 |
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6本のスポークが奏でる孤高な存在
優美なるスポーツエレガンス。MB-6を形容するとこんな言葉がよく似合う。これまでにラグジュアリーなテイストを狙ったスポーティーなホイールは数え切れないほど生まれてきたが、高級車に相応しい洗練された存在感という点においては、どれもが及第点だったと言える。存在感ばかりを狙ったために必要以上に威圧感が感じられるもの、スポーティーすぎて高級車とは相容れないもの、定番的な意匠に依存してしまい個性が欠落しているものなど、過去のホイールにおける苦悩への回答がMB-6には込められている。
スタイルにおいての最大の特徴はいうまでもなく6本のスポークである。円の中心をストレートな1本のラインが貫き、その両端はMB-5さらに薄くしたリムエンドに繋がる。そして、ブラックポリッシュのセンターボアがシルバーラインを際立たせることで脚を長く見せ、実際のサイズより口径を大きく見せることに成功している。19インチで例えるなら、計算上は約483ミリの直線が驚くべき大口径を生み出している。
細部に視線を移すと、先端を2分割したMB-5譲りのスポークダクトがホイール外周の軽さを演出し、深いディスクラウンドがスポークをより長く見せる工夫であることが分かる。当然のことながら表面の処理は手間暇のかかった3Dクロームである。その結果得られたのは、これまでにありそうでなかった、洗練された存在感である。
闇雲にインパクトだけを狙ったホイールが多い中、この都会的な雰囲気を持つMB-6には孤高の美学を感じずにはいられない。
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